BRICSリオデジャネイロ・サミット共同声明
公式声明タイトル:「リオデジャネイロ宣言」(Rio de Janeiro Declaration)
開催日:2025年7月6~7日
公式声明全文(英語PDF):
Rio de Janeiro Declaration - brics.br公式PDF
主な内容
- サミットのテーマは「より包摂的で持続可能なガバナンスのためのグローバル・サウス協力の強化」。
- 米国による関税引き上げなど「無差別な関税の引き上げ」に対し「重大な懸念」を表明。
- 中東情勢(ガザ問題)について、イスラエルによるガザおよび占領地域からの完全撤退と、恒久的・無条件の停戦を要求。
- 共同声明は全126パラグラフ・31ページに及び、インドに関する言及も複数あり。
サミット概要
2025年7月6日~7日にリオデジャネイロで開催された第17回BRICSサミットでは、拡大したBRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ、エジプト、エチオピア、インドネシア、イラン、サウジアラビア、UAE)が共同声明を採択しました。声明は「より包摂的で持続可能なガバナンスのためのグローバル・サウス協力の強化」をテーマに、経済・金融・地政学・気候変動・国連改革など多岐にわたる分野で合意内容が示されています。
主なポイント詳細
1. グローバル経済と貿易
- BRICSは世界人口の約半分、GDPの約40%、世界貿易・投資の約25%を占めると強調。
- 米国などによる一方的な関税引き上げや保護主義的措置を批判し、WTO中心の多国間貿易体制の維持・強化を訴え。
- グローバル・サウス諸国の利益がより平等に分配される必要性を強調。
2. 国際金融機関改革
- IMF・世界銀行などブレトンウッズ体制の抜本的なガバナンス改革を要求。
- 新興国・途上国(EMDEs)の発言権・代表性拡大を主張し、IMFクォータ(出資比率)見直しを強く要請。
- IMFや世界銀行のリーダー選出における地域多様性・女性登用も推進。
3. 気候変動・持続可能な開発
- COP30(2025年11月、ブラジル・ベレン開催)への期待と、パリ協定の目標達成に向けた協調を表明。
- 先進国に対し、発展途上国への気候資金・技術移転の拡大を強く要請。
- グリーンボンドやカーボン市場の活用、持続可能なインフラ投資の推進を合意。
4. 地政学・安全保障
- 中東(特にイランへの攻撃やガザ情勢)に対し「重大な懸念」を表明、国連安保理での対応を要求。
- ウクライナ危機には限定的な言及にとどめ、主に米国・NATOの軍事支出増加を批判。
- 国連安保理改革では、ブラジル・インドの常任理事国入りを支持し、アフリカ代表については合意に至らず。
5. BRICS内部協力の深化
- 新開発銀行(NDB)の役割拡大や現地通貨建て融資、インフラ投資推進を確認。
- 新たな「BRICSマルチラテラル保証(BMG)」イニシアチブ創設へ向けた議論開始。
- クロスボーダー決済やフィンテック、AIガバナンス、税制協力など多分野での連携強化。
共同声明の抜粋(金融分野)
- 「BRICSメンバーは、世界経済の不確実性とボラティリティの高まりに直面しつつも、開かれた公平な多国間貿易体制の維持に努める」
- 「IMFや世界銀行など国際金融機関のガバナンス改革を早期に実現し、新興国・途上国の代表性を拡大すべき」
- 「気候変動対策のため、先進国は発展途上国への資金・技術支援を拡大する責任がある」
- 「新開発銀行の役割拡大と、現地通貨建ての資金調達・融資を推進する」
- 「BRICS決済システムの相互運用性向上やクロスボーダー決済の効率化を目指す」
まとめ
- BRICSは拡大後も「グローバル・サウスの声」として連帯を強調し、米国主導の国際秩序への対抗姿勢を鮮明にしました。
- 経済・金融・気候・地政学・国連改革など多分野で具体的な協力方針が示され、今後の国際交渉に影響を与える内容となっています。
参考情報・メディア要点まとめ
- 公式声明全文(英語PDF)
- BRICS、米国の関税政策に重大な懸念(sakshipost)
- 共同声明でガザ停戦とイスラエル撤退要求(palinfo)
- 声明の詳細とインド関連(republicworld)
主な出典(英語)
- Reuters
- Poder360
- The Japan News
- India Today
- CNBC
- BRICS: Joint Declaration on Climate Leadership Agenda
- BRICS: Joint Declaration on AI in Education
- AA News
- Reuters (Summit gathering)
- ANI