ラリー・ジョンソン:サンクトペテルブルクを攻撃したポーランドとバルト三国は、ロシアに報復される
本稿は『Larry Johnson: Russia Will Retaliate Against Poland & the Baltic States After St. Petersburg Attack』(https://youtu.be/h4DpHfB-GRU)の内容を参考にして各項目を分析し、再構成した報告です。
◆ 1. 国際連合での演説とアメリカ政策 ◆
国際連合(国連)での演説とアメリカ政策
- 📌 国連安全保障理事会への招待 ラリー・ジョンソン氏は、2年前にジョー・バイデン大統領の時代に安全保障理事会の公式会議場で演説した経験に続き、今回は「ARRIA」形式の会合に招待されました。この会合はロシアが招集したもので、ザポリージャでの民間人虐待疑惑に関するロシアの調査結果を提示する目的でした。ロシアのオンブズマンであるロディオン・ミロシュニク大使が出席し、ジョンソン氏はロシア国連代表部から招待を受けました。
- 📌 民間人被害と第二次世界大戦との比較 ジョンソン氏は、ウクライナに投下された兵器量を第二次世界大戦中にヨーロッパとアジアで連合国が投下した量と比較しました。その結果、ロシアが攻撃している地域での民間人被害が著しく少ないことが明らかになり、ロシアが民間人被害を最小限に抑えるために多大な努力を払っていると述べました。
- 📌 アメリカ代表の口調の変化 2年前の安保理出席時、アメリカ代表はロシアに対して敵意に満ちた発言をしていました。しかし今回は、アメリカ代表は非常に中立的な口調でした。ジョンソン氏はロシアのネベンジャ大使に確認したところ、大使も「異なる口調だ」と認めました。この発言は国連代表部によって承認されており、マイケル・ウォルツ氏や国務省のマルコ・ルビオ氏、ロシア問題担当者によって承認されたもので、アメリカの政策転換を反映しているとジョンソン氏は分析します。
- 📌 ヨーロッパ代表の激しい攻撃 一方、デンマーク、ラトビア、フランス、ギリシャの代表はロシアに対して激しい非難を浴びせました。ジョンソン氏はデンマーク代表に対して「ドナルド・トランプ大統領がグリーンランドを掌握しようとしているのに、よくロシアの文句が言えるものだ」と皮肉を言いたかったものの、外交上の配慮から控えたと明かしました。
◆ 2. 米欧関係の変化 ◆
米欧関係の変化
- 📌 ゼレンスキー大統領への批判とヨーロッパからの距離 アメリカはスターリンク(衛星通信網)の提供を控え、トランプ大統領、ベッセント氏、ルビオ氏がゼレンスキー大統領を公然と批判しています。ジョンソン氏は、アメリカがヨーロッパをロシアとの対峙において事実上孤立させる段階に入ったと指摘します。2日前にポーランドから発進したとみられる無人機(ドローン)によるサンクトペテルブルク攻撃があり、ロシア軍参謀本部は報復を誓っています。
- 📌 アメリカの制度的転換 ジョンソン氏は、トランプ大統領の発言だけで政策を判断するのは困難であるとしつつ、国連安保理でのアメリカ外交官の発言を重視しています。国務省の内部事情に詳しい同氏は、発言が政策に合致するか常に精査されると説明します。今回の件では、国務省や国防総省レベルでアメリカ政策の明確な転換が起きており、戦争を終結させる方向に動いていると述べています。ただし、中央情報局(CIA)はまだ遅れている可能性があると付け加えました。
- 📌 ウクライナ戦争の終結と議会の抵抗 アメリカはウクライナ戦争が失われたことを認識し、自国への損害を最小限に抑えつつ撤退する方法を模索しています。ウィトコフ氏とクシュナー氏がゼレンスキー大統領と会談するためヨーロッパの安全な場所に向かうと報じられています。一方、一部の共和党議員はロシアとの合意に反対して国防予算案の通過を妨害すると脅しており、ジョンソン氏は「それなら国防総省で浪費する5000億ドルが減る」と述べています。
◆ 3. ヨーロッパの不安定化と戦争 ◆
ヨーロッパの不安定化と戦争
- 📌 ヨーロッパが提供できるもの ジョンソン氏は、ヨーロッパが天然資源を提供しているわけではなく、むしろ資源の浪費国であると指摘します。軍事面でもヨーロッパは混乱状態にあり、脱工業化が進んでいます。フランス、イタリア、アルバニアで抗議活動が起きており、今後イギリスやドイツでも同様の動きが予想されます。ゼレンスキー大統領は1000億ドルを求めていますが、ヨーロッパ諸国にはその資金がありません。
- 📌 核戦争への恐怖の喪失 ジョンソン氏は、1970年代から80年代の冷戦時代、アメリカとソビエト連邦はアフガニスタン、アンゴラ、中央アメリカ、ベトナムなどで直接対峙しながらも、外交的敬意を払って対話を続けていました。戦略兵器制限条約(SALT)、弾道弾迎撃ミサイル条約(ABM条約)、中距離核戦力条約(INF条約)が締結されたのもこの時期です。しかし、ソビエト連邦崩壊後の30年間で西側は核戦争への恐怖を失い、ロシアを挑発する行動に出ています。セルゲイ・カラガノフ氏の分析によれば、このスパイラルはロシアによる戦術核兵器の使用につながる可能性があると述べています。
- 📌 宣伝の有効性 ジョンソン氏は、日曜日に射撃指導をした生徒が「ロシアは負けている」という認識を持っていたことを紹介しました。西側の宣伝活動が非常に効果的で、多くの市民がロシアを脅威だと信じ込まされていると指摘します。
◆ 4. ポーランドでのエスカレーションのリスク ◆
ポーランドでのエスカレーションのリスク
- 📌 サンクトペテルブルク攻撃と報復 ジョンソン氏によれば、無人機(ドローン)はポーランドから発進し、ポーランドで製造されています。YouTubeチャンネル「Borrie Kman」が状況を詳しく解説しています。もし製造工場がバルト三国にあれば、そこも標的になるでしょう。ロシアはバルト三国上空で無人機を撃ち落とす際に、より攻撃的な姿勢に出ると予想されます。ラトビア、リトアニア、エストニアの領空を侵犯し、「嫌なら無人機の発進をやめるか、撃ってくるならやり返す」と挑発する可能性があります。ジョンソン氏は、ロシア国民が本当に我慢の限界に達しており、ウラジーミル・プーチン大統領の抑制欲求を超えて報復に動くと考えています。
- 📌 代理戦争と直接戦争の境界線 冷戦時代、アメリカはアフガニスタンでソビエト連邦と戦う際、ソビエト製のAKライフルを購入して地域に供給し、アメリカの関与を否定できるようにしていました。しかし現在は、バルト三国の指導者たちがカメラの前で「ロシアの製油所を粉々にすべきだ」と公言し、武器、情報機関、衛星を提供して無人機の誘導を支援しています。ワシントン・ポスト紙の報道によれば、アメリカの軍事計画立案者がウクライナに対して望まない行動を強要することさえあります。NATO加盟国の領空を使用する新たな段階に入っても、議論や討論がまったく行われていません。
◆ 5. 西側の宣伝と神話 ◆
西側の宣伝と神話
- 📌 ロシアの能力に関する誤った認識 ジョンソン氏は、パップ教授なる人物が「ロシアは今年90平方マイル(約233平方キロメートル)の領土しか占領していない」と主張していることを紹介しました。西側の学者や一般市民に流布された嘘が、ロシアの能力について誤った認識を生み、ロシアが弱体化して経済が崩壊寸前だと信じ込ませています。ジョンソン氏は「ロシアをそのように扱うのは自殺行為だ。ロシアは遊びではない」と警告します。スコット・ホートン氏が広く執筆しているように、西側のロシアに対する絶え間ない敵意は35年以上続いており、ロシアをパートナーにするのではなく、経済的搾取と軍事的脅迫の対象としてきました。プーチン大統領はロシア軍と経済を近代的で力強いものに変革する奇跡を成し遂げました。
- 📌 砲弾生産の現実 2022年4月時点で、ロシアは155ミリ砲弾を年間約42万5000発生産し、NATO全体では約35万発でした。現在、ロシアは年間430万発以上を生産しています。NATOのマルク・ルッテ事務総長は、ロシアが3か月で生産する量はNATOとアメリカが1年間に生産する量を合わせたよりも多いと述べています。西側が軍事力、産業能力、最先端技術で優れているという幻想は、嘘と自己欺瞞にすぎません。ロシアは過去4年半で過ちを犯しましたが、そこから学び、無人機攻撃能力を劇的に向上させ、独自のスターリンク(衛星通信網)に相当する「ロスネスト」やGLONASS衛星システムを開発しました。
- 📌 ロシア恐怖症と歴史認識の欠如 ジョンソン氏は、タッカー・カールソン氏と討論したヤコブ・メラー・リース氏が「ロシア経済はスペインより小さい」と主張し、ジョン・マケイン氏の「ロシアは核大国のふりをしたガソリンスタンド」という神話を広めていることを批判しました。ジョンソン氏は、ウラジーミル・プーチン大統領を「ステロイドを使ったアドルフ・ヒトラー」のように描写する風潮に疑問を呈し、歴史を読む者がいないのかと問いかけます。アドルフ・ヒトラーには救いがたい社会的価値はなかったものの、なぜ何百万人ものドイツ人が彼を支持したのかを理解する必要があると述べています。
◆ 6. 偽情報の本質 ◆
- 📌 指導者が自らの宣伝を信じる ホストは、中央情報局(CIA)が偽情報を流布し、それが跳ね返ってきて真実だと信じられるようになる事例を指摘しました。西側指導者が「ゲラシモフ・ドクトリン」や「ロシアの3日間作戦」など、すでに否定された宣伝を繰り返していることを挙げ、彼らが自らの宣伝を本当に信じているのではないかと疑問を呈しました。ウクライナの汚職、高い死傷率、ファシスト要素などは「ロシアの宣伝」とされてきましたが、ドナルド・トゥスク氏が月間2万7000人の死傷者を認めるなど、後に事実と判明しています。
- 📌 中央情報局(CIA)内部での経験 ジョンソン氏は、CIAでの最初の6か月間、アフガニスタン特別作業部会の秘密作戦部門に配属され、情報工作に従事した経験を語りました。ソビエト連邦によるアフガニスタン人虐待をテーマにしたドキュメンタリーやビデオを作成し、雑誌や新聞に記事を掲載していました。フランスの左翼ジャン=ジャック・セルヴァン=シュレベール氏がCIAを激しく非難していましたが、彼の雑誌にCIAが記事を掲載していることには気づいていませんでした。
- 📌 2008年の偽情報事件 2008年夏、ジョンソン氏はシドニー・ブルーメンタール氏(マックス・ブルーメンタール氏の父、クリントン家の親友)を支援していました。ブルーメンタール氏から「ミシェル・オバマ氏が『whitey』という言葉を使ったビデオテープがある」と聞かされ、サイ・ハーシュ氏や元CIA同僚に確認したところ、彼らも「聞いたことがある」と答えました。ジョンソン氏はその情報を流布し、テレビの評論家たちが取り上げましたが、2週間経ってもビデオテープは見つかりませんでした。最終的にブルーメンタール氏はデビッド・ブロック氏を紹介し、ブロック氏がこの話を完全に捏造したことが判明しました。しかし、オバマ陣営が「『whitey』ではなく『why did he』と言ったのだ」と弁明したことで、ジョンソン氏は逆にそれが真実だと確信したといいます。ジョンソン氏は後にミシェル・オバマ氏に謝罪の手紙を書きました。この経験から、意図的に虚偽の情報を政治論争に注入し、認識を形成する方法を学んだと述べています。
◆ 7. 湾岸諸国のエネルギー危機 ◆
湾岸諸国のエネルギー危機
- 📌 石油インフラへの損害 アメリカとイスラエルによるイラン攻撃だけで、ホルムズ海峡が閉鎖され、石油生産と石油化学製品精製のインフラに大きな損害が生じました。アラムコの最高経営責任者(CEO)は2週間前、正常化には少なくとも2年かかると認めています。さらに、サウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン皇太子が7月13日にイエメンのサヌアを攻撃してイエメンとの戦争を再開したことで、アンサール・アッラー(フーシ派)が報復に出ました。アンサール・アッラーの軍隊はサウジアラビア軍の3~4倍の規模で、弾道ミサイル能力ではサウジアラビアを圧倒しています。ヤンブーパイプライン、ヤンブーターミナル(東西両側)、ダンマームの石油精製所、ジャザンの石油化学精製所、世界最大のガワール油田が被害を受けました。
- 📌 世界的な経済的影響 この地域は世界経済にとって極めて重要です。原油はディーゼル、航空燃料、その他の製品に精製され、液化天然ガス(LNG)は世界供給の20~25%を占めています。石油とLNGの加工からは、肥料や金属加工用の硫黄、肥料用の尿素、コンピューターチップや先端電子機器に不可欠なヘリウムが得られます。これらの不足は他の地域では簡単に補えません。来夏には肥料の供給停止と価格高騰、ディーゼルの価格高騰により、世界的な食料不足が予想されます。ロシアはこの状況を生き延びる立場にありますが、中国は貿易相手国が経済危機に陥るため打撃を受けます。少なくとも世界経済の景気後退、さらに深刻化すれば世界恐慌につながる可能性があります。
- 📌 サウジアラビアの窮状 ムハンマド・ビン・サルマン皇太子は2017年にいとこや叔父、その他の親族や王子たちをリヤドの高級ホテルに監禁し、強要して数十億ドルを手に入れました。彼は汚職対策キャンペーンだと主張しましたが、純粋な権力闘争でした。その過程で敵を作りましたが、これまで報復を受けていません。イエメンとの戦争でアンサール・アッラーが本格的に動き出した今、以前に強要した勢力からの内部脅威に直面しています。ジョンソン氏は、皇太子が年内生き延びられれば幸運だと述べています。皇太子はアメリカに支援を求めましたが、トランプ大統領は拒否しました。エジプトとパキスタンはメッカ協定に署名しましたが、実際に軍隊を派遣していません。トルコやパキスタンから地上軍をサウジアラビアに移動・配備するのは膨大な後方支援の課題であり、アメリカの支援が必要です。アンサール・アッラーはアラブ首長国連邦の主要な油田・ガス田を攻撃する可能性があり、そうなれば世界のエネルギー危機がさらに悪化します。
🔑 核心メッセージ
アメリカの対ロシア政策は国務省レベルで制度的に転換し、ウクライナ戦争の終結に向かっていますが、ヨーロッパはロシアへの憎悪にとどまり、ポーランド製無人機によるサンクトペテルブルク攻撃への報復としてロシアがポーランドとバルト三国を標的にする可能性があります。西側の宣伝が生んだロシアの弱体化という誤った認識は、核戦争のリスクを高める危険な幻想です。
(ロシアは年間430万発以上の砲弾を生産し、NATOとアメリカの合計の3倍以上。サウジアラビアとイエメンの戦争再開により、世界の液化天然ガス供給の20~25%が危機に瀕しています)