こんにちは。少しだけ、イランと日本の石油をめぐる“やわらかい観察”をお伝えします。難しい話に聞こえるかもしれませんが、じつは私たちの毎日の暮らしと、静かにつながっています。
少し前に、トランプ大統領がこんな趣旨の発言をしました。「もしイランが核兵器を持っていたら、自分は北朝鮮に対するように、敬意を払ってイランと対応するだろう」。
この発言には、ある観察者が面白い指摘をしています。「これは事実上、『核兵器を持てば攻撃されない』というメッセージになっているのではないか」というものです[reference:0]。
一方、イランの核開発の現場では、衛星画像の分析により、地下施設「ピックアックス山」での建設活動が2026年に入って急増していることが確認されています。専門家は、遠心分離機の移設や核関連活動の避難場所として使われている可能性を指摘しています[reference:1]。
そして、日本にとって直接関係があるのはここからです。日本の原油輸入に占める中東の割合は、2026年6月時点で62.3%。ピーク時には95%以上を中東に依存していました[reference:2][reference:3]。
はい、かなり深く関係しています。少し具体的に考えてみましょう。
日本の製油所は、長い年月をかけて「中東産の中質サワー原油」に最適化された設計になっています。油の質が違う米国産原油などをそのまま精製するのは難しく、各地の原油を混ぜて中東産に近い性質に調整してから処理しているのが現状です[reference:4]。
つまり、「中東から原油が届かなくなったら、別の産地から持ってくればいい」という単純な話ではないのです。
もし中東からの原油が止まったら、あなたの生活のどの部分に、最初に影響が出ると思いますか? ガソリン価格、電気代、それとも医療現場で使うプラスチック製品でしょうか。
じつは日本の石油備蓄は、2026年3月末の233日分から、たびたびの放出を経て、5月22日時点で202日分まで減っています(国家備蓄112日分、民間備蓄89日分)[reference:5]。さらに、日本に向かっているタンカーが積んでいる原油の量から推計すると、通常の5割程度しか調達できていないという分析もあります[reference:6]。
このペースが続けば、7月には国家備蓄が約80日分まで減る見通しです[reference:7]。数字だけを見るとまだ余裕があるように感じるかもしれませんが、「輸入が再開される保証がないまま減り続ける」という状態は、じわじわと緊張感を高めていきます。
まず、日本がすでに始めている取り組みをおさらいしておきましょう。政府はすでに、ホルムズ海峡を経由しない代替調達の支援制度を設計し、輸送コストへの交付金支給や産油国パイプラインへの資金支援を打ち出しています[reference:8]。米国産原油を日本国内に備蓄する日米共同の枠組みも検討されています[reference:9]。
これらを踏まえたうえで、「それ以上に何ができるか」を考えてみます。大げさな改革ではなく、現状のアップデートとして、こんな選択肢があるかもしれません。
大きな改革を一度にやろうとすると、コストも時間もかかります。でも、小さな一歩なら今すぐ踏み出せます。
政府レベルでは、ホルムズ海峡を迂回するパイプライン建設への資金支援や、調達多角化に取り組む企業への交付金制度が動き始めています[reference:17]。企業レベルでも、出光興産の社長が「エネルギー安全保障には相応のコストがかかる」と述べ、製油所への投資の必要性を認めています[reference:18]。日本郵船は中南米やアフリカからの原油輸送に向けた協議を進めており、ベネズエラも潜在的な調達先として検討されています[reference:19]。
一人で全部を解決する必要はありません。周りが動いているからこそ、自分にできる小さな観察と行動から始めればいいのだと思います。
何もしないことが、いちばんのリスクかもしれない。
備蓄の数字が減っていること自体は、すぐにパニックになる話ではありません。でも、「減っていることに気づかないまま過ごすこと」は、静かなリスクです。まずは知ること。そして、小さく動くこと。それが、遠い国の出来事を自分の暮らしの話に変える第一歩だと思います。