イランの超極超音速ミサイルに関するレポート

レポート作成日: 2025年8月3日

概要: 本レポートは、イランの超極超音速ミサイル(極超音速ミサイル、Hypersonic Missiles)の最新情報を収集し、その技術的特徴、開発状況、実戦使用、迎撃可能性、および地政学的影響について検証します。情報は2025年8月3日時点のウェブおよびSNS上の投稿を基に分析し、特に「ファッターハ(Fattah)」シリーズや最近のイスラエルへの攻撃に関する主張に焦点を当てます。ロシアや北朝鮮との協力疑惑や、技術的限界についても検討します。

[](https://www.pbs.org/newshour/world/why-hypersonic-missiles-are-stirring-fears-in-the-conflict-between-israel-and-iran)[](https://en.wikipedia.org/wiki/Fattah-1)

1. イランの超極超音速ミサイルの概要

イランは、中東最大の弾道ミサイル保有国であり、近年、超極超音速ミサイルの開発を主張しています。以下のミサイルが「極超音速」として宣伝されていますが、その技術的定義や能力には議論があります。

2. 最新の動向(2025年8月時点)

2.1 イスラエルへの攻撃とファッターハの使用

イランは2024年4月13日(「真の約束」作戦)と2024年10月1日(「真の約束II」作戦)でイスラエルに対し、それぞれ110〜130発および約150発の弾道ミサイルを攻撃に使用。ファッターハ-1が2024年10月1日の攻撃で使用された可能性が、ニューヨーク・タイムズの分析で指摘されている。2025年6月18日には、IRGCがファッターハ-1をテルアビブ攻撃に使用したと主張し、イスラエルの防空システムを突破したと述べた。ただし、イスラエルのアロー2/3やパトリオットシステムにより大部分が迎撃され、被害は限定的だった。

[](https://en.wikipedia.org/wiki/Fattah-1)[](https://breakingdefense.com/2025/06/how-iran-could-use-its-ballistic-missile-capability-to-strike-back-at-israel-analysis/)[](https://www.newsweek.com/iran-israel-missile-defensive-systems-hypersonic-2087124)

SNS上の投稿(例: @NobbyRaelian, @tsunnaky)は、2025年6月にイランの極超音速ミサイルがイスラエル防空網を突破し、テルアビブやベエルシェバに被害を与えたと主張するが、公式な証拠は不足している。

2.2 ホッラムシャフル-5の噂

SNS上で、ホッラムシャフル-5が射程1万2000km、マッハ16のICBMとしてテスト準備中と報じられた(例: @IranSpec, @negar_mo59)。これが事実なら、イランの従来の2000km射程制限を破るもので、欧州や米本土を脅かす可能性がある。しかし、公式発表や映像証拠がなく、専門家はプロパガンダの可能性を指摘。イランの工業能力ではICBM開発は困難とされる。

[](https://www.stimson.org/2023/irans-claims-of-developing-a-hypersonic-missile-raise-doubts/)

3. 技術的特徴と迎撃可能性

イランの極超音速ミサイルは以下の特徴を持つと主張されていますが、技術的限界が議論されています:

迎撃可能性: イスラエルのアロー2/3や米国のパトリオット、THAADシステムは、ファッターハ-1/2の迎撃に部分的に成功(2024年4月・10月)。しかし、HGVの機動性は迎撃を困難にする。専門家は、イランのミサイルが「真の極超音速兵器」(持続的なマッハ5以上での機動飛行)に該当するか疑問視し、従来の弾道ミサイルにHGVを付加したものと評価。イランの誇張された主張(例: 「迎撃不可能」)は、ロシアのキンジャールがパトリオットで迎撃された事例から、信頼性が低い。

[](https://www.pbs.org/newshour/world/why-hypersonic-missiles-are-stirring-fears-in-the-conflict-between-israel-and-iran)[](https://www.aljazeera.com/news/2025/6/18/how-has-iran-managed-to-pierce-through-israels-air-defence-systems)[](https://www.stimson.org/2023/irans-claims-of-developing-a-hypersonic-missile-raise-doubts/)

4. ロシア・北朝鮮との協力疑惑

イランの極超音速ミサイル開発は、ロシアや北朝鮮の技術支援を受けた可能性が指摘されています:

5. 地政学的影響

イランの極超音速ミサイルは以下の影響を及ぼしています:

6. 検証と信頼性の課題

イランの主張には以下の信頼性の問題があります:

7. 結論

イランの超極超音速ミサイル(ファッターハ-1/2、ホッラムシャフル-4)は、中東での抑止力強化を目指すが、真の極超音速兵器としての能力は限定的。2024年のイスラエル攻撃でファッターハ-1が使用された可能性はあるが、イスラエルの防空システムにより大部分が迎撃された。ホッラムシャフル-5のICBM主張はプロパガンダの可能性が高く、工業基盤の制約から実現は困難。ロシアや北朝鮮の支援は推測されるが、証拠は不十分。地政学的には地域緊張を高めるが、戦況を変えるほどの影響は現時点で限定的です。

8. 推奨事項

最終評価: イランの極超音速ミサイルは地域抑止力を高めるが、技術的・工業的限界からロシアや中国に比べ劣る。イスラエルや米国の防空システムは有効性を維持しており、誇張された脅威には慎重な検証が必要。

[](https://www.pbs.org/newshour/world/why-hypersonic-missiles-are-stirring-fears-in-the-conflict-between-israel-and-iran)[](https://iranprimer.usip.org/resource/irans-ballistic-missile-program)