2025年6月、イスラエルはイランの核関連施設や科学者、軍事拠点を大規模に空爆し、イラン革命防衛隊の幹部も殺害しました。この攻撃はイランにとって前例のない大打撃であり、イラン指導部は「国家の生存」をかけて核兵器開発を加速させる強い動機を得たと考えられます。実際、国際原子力機関（IAEA）は2025年前半、イランの高濃縮ウラン保有量が1.5倍に急増したと報告し、イランはすでに核開発を加速させていました。
イスラエルの攻撃は「核抑止力」こそが国家存続の保証だというイラン国内の世論や指導層の意志を一層強固にし、外交交渉による解決の余地を狭めています。アナリストの間でも「外部からの軍事的圧力はイランの核武装化を加速させる逆効果となる」との見方が強まっています。
イスラエルは「イランが数日以内に核兵器15発分の材料を確保しつつある」と主張し、核関連施設への攻撃を正当化しました。今後も数日間にわたり追加攻撃を継続する可能性を示唆しています。ネタニヤフ首相は「歴史的な決定的瞬間」と強調し、核開発に関与した科学者や軍事拠点も標的にしています。
一方、アメリカは今回の攻撃への直接的な関与を否定しつつも、イスラエルの「自衛権」を支持する立場を維持しています。ただし、イランが中東の米軍基地や米国人を攻撃対象とする可能性があるため、アメリカは警戒を強めています。
アメリカは外交的解決を模索し、イランとの核協議を予定していました（これはイランを安心させるための手段だったのは、トランプ氏のTruceMediaの配信で明らかになりました）が、イスラエルの先制攻撃によって協議の行方は混沌としています。今後、イランの報復規模や核開発の進展次第では、アメリカもさらなる制裁や軍事的圧力を強化する可能性があります。
ロシアと中国は、イランに対する制裁や軍事的圧力に一貫して反対し、国連安保理でもイラン寄りの立場を取っています。両国はイランの核開発を「平和利用」と主張しつつ、経済・軍事面での支援を強化する姿勢を見せています。
両国は国際社会でのイラン孤立化を防ぐため、外交的・経済的な後ろ盾となり、必要に応じて兵器供与や技術移転も行うとみられます。こうした支援は、イランの核開発加速を間接的に後押しする要因となっています。
イスラエルの軍事的圧力とアメリカの制裁強化、ロシア・中国の支援という構図の中、イランは「核抑止力」獲得への道を加速させる可能性が高まっています。外交解決の余地が狭まる一方で、中東全体の安全保障環境は一層不安定化し、軍拡競争やさらなる衝突のリスクが現実味を帯びています。