スーダンの危機:紛争と飢饉による自滅の危険
スーダンは、2023年4月15日に始まったスーダン軍(SAF)とラピッド・サポート・フォース(RSF)の内戦により、壊滅的な人道危機に直面しています。この紛争は、世界最大の難民危機と飢饉を引き起こし、2025年6月時点で状況はさらに悪化しています。
紛争と飢饉の現状
- 食糧危機:人口の半数以上(約2460万人)が急性食糧不安(IPCフェーズ3以上)に直面。63.8万人が壊滅的飢餓(IPCフェーズ5)に瀕しています。2024年7月にザムザム難民キャンプで飢饉が確認され、2024年12月にはアブ・ショウク、エル・サラム、西部ヌバ山脈で飢饉発生。
- 農業とインフラの破壊:農地破壊、供給ルート寸断、農業機器略奪により、2年連続で農業シーズンが活用不足。ソルガムや小麦粉の価格は2024年初頭比で100%以上高騰。
- 健康危機:病院の80%以上が機能停止。2023年4月~2024年10月に医療施設への攻撃119件以上。コレラ(6万件以上、1600人以上死亡)、マラリア、はしかが急増。
- 避難民危機:1280万人が避難(国内避難民860万人、近隣諸国380万人)。2024年6~9月の洪水で59.5万人が影響を受け、17.25万人がさらに避難。
- 人道支援の妨害:RSFによる略奪、SAFによる支援阻止でアクセス制限。2023年5月にWFPの食糧支援(1300~1400万ドル相当)が略奪され、440万人分の食糧喪失。2025年2月のUSAID資金凍結で200万人が影響。
自滅の危機
紛争、飢饉、経済崩壊(2023年にGDP12%縮小)、社会インフラの破壊が相互に悪化し、スーダンは「完全な嵐」に直面しています。
- ジェノサイドと人権侵害:ダルフールでRSFによるマサリト族へのジェノサイドが2025年1月に米国認定。民族浄化、性的暴力、児童兵募集が報告。
- 国際的無関心:スーダン危機は「忘れられた危機」と呼ばれ、ガザや他紛争に比べ注目度が低い。WFPは2025年9月まで6.5億ドルの資金が必要だが、資金不足で配給削減。
- 地域への影響:チャド(100万難民、10万人以上の子供が栄養失調)、南スーダン(アッパーナイル州で飢饉リスク)に波及。
国際的優先順位:中東の紛争が国際資源を吸収し、スーダンへの支援不足。UNHCRの2025年難民対応計画(18億ドル)は10%しか資金調達できず。
解決策と課題
国連や人道団体は以下の緊急対応を求めています:
- 即時停戦:紛争終結が飢饉拡大防止の唯一の方法。
- 人道アクセス:ダルフールやコルドファンへの安全なアクセスルート確保。
- 資金調達:WFPは6.5億ドル、難民支援に1.5億ドルが必要。FAOは270万人を支援したが資金不足。
- 農業復興:農地回復と食糧生産支援が急務だが、紛争が制限。
停戦と国際的介入がなければ、2025年にさらなる地域が飢饉に陥り、数十万人の命が危険にさらされます。