参議院選挙分析(7月16日、2025年)
2025年7月20日に予定されている参議院選挙は、石破茂首相率いる自由民主党と連立政権を担う公明党にとって、重要な試金石となりそうだ。日経アジアなどの最近の世論調査によると、自民党・公明党連立政権は参議院で過半数議席を失うリスクにさらされている。以下は、2025年7月16日時点で入手可能な世論調査データと分析に基づき、投票分布と支持を集めている政党に関するレポートです。
2025年参議院選挙の背景
- 選挙制度:参議院議員は定数248で、そのうち124議席(および欠員1議席)が2025年7月20日に改選されます。このうち75議席は都道府県選挙区(小選挙区は小選挙区制、複数選挙区は非記名式)で選出され、50議席はドント方式による全国比例代表制で配分されます。 (出典 1、出典 2)
- 与党の立場:自民党・公明党連立政権は現在、参議院で過半数(無投票議席75)を占めており、政権維持にはさらに50議席の獲得が必要となる。しかし、最近の世論調査では、石破首相の指導力に対する国民の不満、経済難、そして議員への商品券配布をめぐるスキャンダルにより、連立政権、特に自民党は大きな課題に直面していることが示唆されている。 (出典3、出典4)
日経世論調査とその他の調査結果
2025年7月15日に発表された日経の世論調査では、自民党・公明党連立政権が参議院で過半数を失うリスクが浮き彫りになり、野党が勢力を拡大する見通しが示された。以下は、日経新聞、NHK、朝日新聞、読売新聞、そしてXの投稿から入手可能なデータに基づく、得票率と政党の動向の内訳です。(出典5)
1. 自由民主党
- 現状:連立与党の主要与党である自民党は、大幅な議席減少が見込まれています。世論調査によると、自民党は32~46議席を確保する見込みで、これは2022年の総選挙の改選議席63議席から大幅に減少することになります。 (出典6)
- 得票率(比例代表):
- NHK選挙前世論調査(7月11日~13日):24.0%(前回比-4.1%)
- 選挙・JX世論調査(7月12日~13日):30.8%(+1.4%)
- 共同通信トレンド電話調査:18.2%(+0.3%)
- 課題:自民党は32ある小選挙区制の都道府県選挙区で苦戦しており、リードしているのはわずか12選挙区。一方、前回の28選挙区では、2018年の選挙区で28勝している。 2022年。国民の不満は、物価上昇などの経済問題、岸田文雄元首相から引き継いだ政治資金不正問題、そして石破氏をめぐる最近の商品券問題に起因している。日経・テレビ東京の世論調査によると、自民党の支持率は37%(3ポイント上昇)とわずかに上昇したが、過半数を確保するには不十分かもしれない。 (出典7、出典8、出典9)
2.公明党
- 現状:自民党の連立パートナーである公明党は、現在13議席を保有しているが、今回は4~10議席に減少する見込みである。
- 得票率(比例代表):
- NHK選挙前調査:3.5%(+0.5%)
- 選挙・JX世論調査:4.1%(+0.5%)
- 課題:公明党は、特に比例代表で若干の敗北を喫する見込みである。自民党が議席を失った場合、連立政権の存続は両院における公明党の支持にかかっているため、公明党の影響力は拡大する可能性がある。 (ソウrce 10)
3.立憲民主党(CDP)
- 現状:野党第一党である立憲民主党は、2022年の総選挙で16議席だった議席数を23~33議席に増やすと予測されており、大幅な議席増が見込まれています。
- 得票率(比例代表):
- NHK選挙前世論調査:7.8%(-0.7%)
- 選挙・JX世論調査:15.3%(+1.6%)
- 共同通信トレンド電話調査:6.6%(-3.2%)
- 強み:立憲民主党は反自民党の機運をうまく利用し、32の小選挙区制都道府県選挙区のうち9つでリードしています。選挙区では11議席の接戦が予想される。自民党の経済問題や政治スキャンダルへの対応に反対する姿勢が、同党の支持基盤となっている。しかし、比例代表での得票率は世論調査によってばらつきがあり、支持基盤が不安定であることを示している。(出典 11、出典 12)
4. 参政党
- 現在の支持状況:極右政党「参政党」は躍進しており、9~17議席(現在の議席数はわずか1議席)を獲得すると予想されている。獲得議席数で野党第3位となる。 (出典13)
- 得票率(比例代表):
- NHK選挙前世論調査:5.9%(+1.7%)
- 選挙・JX世論調査:5.3%(+2.7%)
- 共同通信トレンド電話調査:8.1%(+2.3%)
- 強み:参政党の支持率急上昇は、減税や福祉給付の拡充といったポピュリスト的なレトリックが、自民党政権に不満を持つ有権者の共感を呼んだことによる。特に比例代表での躍進が顕著である。 (出典14)
5.国民民主党(DPFP)
- 現状:DPFPは、改選議席の5議席から9~17議席に増加すると予想されています。
- 得票率(比例代表):
- NHK選挙前調査:4.9%(-0.2%)
- 選挙・JX世論調査:4.1%(-0.5%)
- 共同通信トレンド電話調査:6.8%(+0.4%)
- 強み:DPFPは、現役世代の可処分所得増加政策を重視することで支持を集めています。ハング・パーラメント(宙吊り議会)において、与野党の勢力均衡を維持できる可能性を秘めており、重要な役割を担っています。 (出典15)
6.日本維新の会
- 現状:維新は5~9議席を獲得すると予想されており、現在の12議席からわずかに減少する。
- 得票率(比例代表):
- NHK選挙前調査:3.1%(+0.8%)
- 選挙・JX世論調査:3.5%(+0.7%)
- 課題:小選挙区での野党共闘を掲げているにもかかわらず、維新の得票率は控えめで、参政党や民進党と比べて影響力は限定的となる可能性がある。 (出典16)
7.その他政党
- 共産党:得票率はNHK世論調査で3.0%(-0.1%)、選挙・JX世論調査で4.3%(-0.1%)と、わずかに減少すると予想されます。
- れいわ新選組:得票率はNHK世論調査で2.8%(-0.4%)、選挙・JX世論調査で2.1%(横ばい)と、わずかに増加し、3~5議席を獲得すると予想されます。
- 社会民主党:得票率はNHK世論調査で0.7%(+0.2%)、選挙・JX世論調査で1.9%(+0.9%)と、0~1議席を獲得する可能性があります。
- 保守党:得票率の増加が見込まれます。 NHKの世論調査では得票率が1.4%(+0.4%)、選挙・JXの世論調査では得票率が2.1%(+0.2%)となり、議席数は1~2議席にとどまりました。
- 日本誠真会:現時点での主要メディアの予測では、日本誠真会が議席を獲得する可能性は低いと見られています。同党は「誠意と真実」をスローガンに掲げていますが、既存政党との差別化が十分でなく、支持が広がりにくい状況です。
主な考察
- 自民党の衰退:自民党は小選挙区と比例代表の両方で支持率を落としています。経済課題や政治スキャンダルへの国民の不満が高まっている。議席数の減少(17~31議席)が見込まれるため、石破氏は法案成立のために公明党や民進党などの野党に頼らざるを得なくなる可能性がある。(出典 17)
- 参政党の躍進:参政党の急速な躍進は、ポピュリズムの高まりを反映しており、一部の世論調査では、その得票率は立憲民主党などの既存野党に匹敵、あるいは上回っている。 (出典 18)
- 野党の分裂:立憲民主党が議席を伸ばしている一方で、野党(立憲民主党、民進党、維新、れいわなど)は自民党に対抗する結集に課題を抱えている。小選挙区での野党予備選の提案は、特に共産党からの抵抗に遭っている。(出典 19)
- 未決定有権者:世論調査では、都道府県選挙区と比例代表選挙区で40~50%の有権者が未決定となっており、選挙結果に大きな変動が見られる。この不安定さは、最終日の選挙結果を左右する可能性がある。 (出典 20)
- 小選挙区:32ある都道府県小選挙区は極めて重要で、自民党がリードしているのはわずか12選挙区、野党候補がリードしているのは9選挙区、そして僅差の11選挙区は勝敗が分からない。これらの選挙区は、与党が過半数を維持できるかどうかを左右する可能性がある。 (出典21、出典22)
投票配分に影響を与える要因
- 経済懸念:物価上昇と経済停滞が主要な問題となっており、参政党や民進党といった野党は減税や福祉給付の拡充を約束することで支持を集めている。 (出典 23、出典 24)
- 政治スキャンダル:岸田政権下での自民党による資金提供スキャンダルへの対応、そして石破政権下での最近のギフト券問題により、国民の信頼は損なわれました。 (出典 25)
- 石破氏のリーダーシップ:石破氏の支持率は低く(時事通信の世論調査では28%)、2024年10月に自民党が衆議院の過半数議席を失った後に発足した少数与党政権は、法案成立に苦戦している。 (出典 26、出典 27)
- ソーシャルメディアとポピュリズム:参政党の台頭は、消費税減税や現金給付などの政策を推進するためにソーシャルメディアを効果的に活用したことと関連している。 (出典 28)
結論
2025年7月16日現在、自民党・公明党連立政権は参議院の過半数を失う危機に瀕しており、自民党は大幅な議席減(32~46議席)、公明党は小幅な議席減(4~10議席)と予想されています。野党、特に立憲民主党(23~33議席)、参政党(9~17議席)、民進党(9~17議席)は、反自民党の感情とポピュリスト的な公約を背景に勢力を伸ばしています。参政党の躍進は注目に値し、主要な野党勢力となる可能性があります。しかし、最終結果を左右するのは、まだ選挙区を決めていない有権者と小選挙区の結果です。この選挙の結果は日本の政治情勢を大きく変え、石破氏の統治能力や法案可決能力に影響を及ぼす可能性がある。 (出典29、出典30)
最新情報については、日経アジア、ジャパンタイムズなどの信頼できる情報源をご確認ください。選挙日が近づくと、NHKワールド・ジャパンも更新されます。