今日はこれから日本で確実に起きる、市場最大の「お金の引っ越し」――大相続時代について話します。 最初に、僕の投資の捉え方を一つ白状しておきます。世の中の大きなトレンドを見る時、僕が最初に見に行くのは株価でもニュースでもなく、人口です。 何人生まれて、何歳で亡くなっていくのか。この手の数字は、経済予想の中で一番硬いんです。 インフレや株価の予想はプロでも外しますけど、今50歳の人が10年後に60歳になることだけは絶対に外れない。 そしてその一番硬い数字が、今日本にはっきりと告げている未来があります。
日本ではもう年間約160万人が亡くなっています。 1日あたり4,400人。そして亡くなる方の7割以上が80歳以上。 前回、日本人を年齢で6つの箱に輪切りにしましたけど、まさに日本の家計のお金の6割以上を積んでいる、あの右端の箱の世代です。 三井住友信託銀行の試算では、これから30年で相続によって動く金融資産はおよそ650兆円。 国の予算の6年分です。不動産まで入れれば優に1,000兆円を超えます。
海外Yパパラジオ、皆様 how are you。海外ワイパパです。 僕は上海やニューヨークなどを点々とし、今はニュージーランドに家族で住んでいます。 世界の片隅から見える世界の情報を、独自の視点で解説します。
今日は先に結論から言い切ってしまいます。この大相続がもたらすものは大きく3つ。
ここからこの3つを順番にデータで補強し、最後に投資家としての僕の見立てで締めくくります。
相続で株が上がるって、変に聞こえますよね。鍵は受け取る人の年齢です。 ここでちょっと考えてみてください。90歳のおばあちゃんが亡くなって2,000万円の遺産が残ったとします。 これを受け取るのは誰でしょう? なんとなく「若い世代に渡る」ってイメージしませんでしたか? 答えは多くの場合、60代の子供です。
今、日本人が一番多く亡くなる年齢は男性88歳、女性93歳。 90歳前後で親が亡くなれば、子供は大体60代なんです。 内閣府の経済財政白書にはっきり数字が載っていて、遺産を受け取る相続人の半分以上が60歳以上。 40歳未満は10人に1人もいません。
世の中では「高齢者から若者へお金が流れる」イメージで語られますけど、実際に起きるのは 「老老相続」——箱からその隣の箱への横流しです。 最近は子供がいないまま亡くなって、80代の弟が受け取る「超老老相続」まで増えています。
受け取った60代が、そのお金を使わないからです。 同じ白書によると、日本の高齢世帯は80歳を過ぎても、ためた資産の1割か2割しか取り崩しません。 相続したお金も、老後の不安があるから消費には回らず、預金や運用資産のまま市場に残り続ける。 つまりこのお金は消費に出てこない。景気は押し上げないけれど、資産市場からも出ていかない。
しかも認知症になった方の資産は口座ごと凍結されて、売りにすら出てこなくなります。 関係機関の推計では、認知症とその予備軍が持つ金融資産はすでに約300兆円です。
整理すると:
フィデリティの調査では、これまで相続したお金を投資に回した人はわずか7%でした。 ところがこれからの受け手は、ネット証券もNISAも使いこなし始めた最初の世代です。
これが1つ目の結論の中身です。
相続の時、お金は世代の間だけじゃなくて、地図の上も動きます。 住友信託銀行の調査だと、相続で動く金融資産のうちおよそ2割は県を超えて動く。 理由は単純で、子供たちが進学や就職で故郷を出たからです。
地方のおじいちゃんが亡くなると、その預金は東京で暮らす60代の子供の口座に移る。 人が動いた30年後にお金が同じルートを追いかけるんですね。
フィデリティの調査では、地方銀行に預けられていたお金のうち、相続の時に同じ地銀に残るのは4割ほどしかありません。 残りは解約されて、都会の銀行やネット証券の口座へ抜けていく。止めようがない。 なぜなら、相続人がもうその町に住んでいないからです。
地銀や信用金庫にとって、高齢者の預金は経営の土台そのものですから、これは静かな悪夢です。 逆に東京の大手金融から見れば、650兆円が一度に持ち主を変える市場最大の商機です。 信託銀行の遺言信託は件数を伸ばし、野村や大和といった大手証券は相続手続きの共通プラットフォームまで一緒に作り始めました。 まさに全力の取り合戦です。
ところがお金と一緒には動けない実家が取り残されます。 日本の空き家は今約900万戸、7戸に1戸。 しかもその6割は相続がきっかけで生まれています。
「売ろうにも買い手がつかず、維持費と固定資産税だけが出ていく不動産」なんて言葉もあるくらいで、 持ち主が分からなくなった土地を全部合わせると、九州より広いという推計まであります。
相続争いのことを「争う家族」と書いて「相続」なんて言いますけど、 家庭裁判所に持ち込まれる遺産分割の争いは、司法統計でこの10年間に1.7倍、 年間15,000件に増えました。
ここで大事なのは、争っているのはお金持ちではないということです。 争いの8割近くは、遺産5,000万円以下のごく普通の家で起きています。 分けられない実家が1件と預金が少し。それを年金暮らしの60代の兄弟で分けなきゃいけないから、それぞれに切実なんです。
実は日本は世界有数の相続課税国です。 OECDの比較だと、税収に占める相続系の税金の割合が1%を超える国は、 日本・韓国・フランス・ベルギーの4カ国だけです。
2015年に基礎控除が引き下げられ、今は亡くなる方のおよそ1割が課税対象になりました。 それでも国は「取ることより早く動かしたい」——駆け込み贈与の持ち戻し期間を3年から7年に伸ばし、ギリギリの節税は許さない。 その一方で相続時精算課税には年間110万円の非課税枠を新設し、早めに渡す人は優遇する。 まさに「雨と鞭」です。
ところがそのアクセルも踏み切れていません。 「親の教育資金をまとめて非課税で渡せる特例」は、結局豊かな家しか使えず格差を固定化しかねないという理由で、 今年の春に新規の受付が終わりました。
ピケティという経済学者が『21世紀の資本』で書いた通り、成長が鈍った社会では 働いて稼ぐお金より、受け継ぐ資産が人生を決めるようになります。 実際フランスでは相続が国民所得の15%まで戻ってきました。
日本の若い人たちが言う「親ガチャ」や「実家が太い」という言葉は、 多分この変化を統計より先に肌で言い当てています。
最後に僕の見立てです。今日の3つの結論は、突き詰めると全部同じ1つの構造から出てきています。 「大移動」と呼ばれているものの正体は、放っておくと「大滞留」だということです。
お金は使われないまま90歳で相続され、受け取った60代がまた使わずに貯めて、20年後にまた相続される。 消費に出てこないから景気はなかなか良くなりません。 でも資産市場にはいわゆる金のような持てるものの資産の値段は、構造的に下がりにくい。
そして投資家として正直に言うと、この構造は実態経済には冷たくて、資産価格には優しい。 だからこそ、賃金だけで生きる人と資産を持っている人の差は、誰も悪いことをしなくても毎年勝手に開いていきます。
僕が一番言いたいのは、すごく地味なことです。家族でお金の話をすること。
さっきの相続の8割近くは、遺言も準備もないごく普通の家の話でした。 僕は今ニュージーランドに住んでいますが、こっちは相続税がない代わりというか、遺言を書くのが本当に当たり前の文化なんですね。
日本は逆で、世界有数の相続課税国なのに、親の資産の話は遺言でもないとタブーのまま。 地上最大の大移動に、地図を持たずに突っ込もうとしている家庭が多分ほとんどです。
それからもう1つ、前回も言いましたけど、若い側の箱にいる方の武器は時間です。 お金がすぐには回ってこないと分かっているなら、なおさら自分の小さな山を早く育て始めるしかない。
650兆円の大移動は、待っていても多分あなたのところには来ないので、 この動画が気に入ったら高評価、チャンネル登録お願いします。コメント全部読ませてもらっています。 それではまた。
引用、ここまで。 以下は提言。
〈使命〉短期的な政治・世論・選挙・経済指標・国際的な一時的な風潮に一切左右されず、 日本という国家の永続的繁栄と生存を50年単位で設計・守る。
今回のデータが示すのは、年間160万人の死亡と650兆円の資産移転という、まさに「人口構造が生み出す国債の償還」です。 この流れは、いかなる政権も金融政策も 止められない。 なぜなら、これは「人が死ぬ」という生物学的必然に根ざしているからです。
国家百年の視点で見れば、この「大滞留構造」は日本経済の 潜在成長率を恒久的に抑制 します。 消費が回らず、国内需要が細る一方で、資産価格だけがインフレする—— これはまさに「静かなる二極化」の処方箋です。
今から10年以内に、相続税制を抜本改革し、「相続資産の社会還元インセンティブ」(例:早期贈与への優遇を強化、公益法人への寄付控除拡大)を導入。 地方に残る不動産を国が買い上げ、地域インフラや若者向け住宅に転換する。 この場合、資産の滞留が緩和され、内需の底上げと地域再生が同時に進む。 しかし実現確率は20%未満。なぜなら、既得権益(高齢資産家・大手金融)の抵抗が極めて強いからです。
基礎控除の再引き下げや、相続時精算課税のさらなる拡充など、部分的な修正は行われる。 しかし根本的な資金循環の改善には至らず、東京一極集中は加速 し、地方の空き家・耕作放棄地は2026年時点の1.5倍以上になる。 地銀の統廃合が進み、メガバンクと一部のネット銀行が市場を寡占。 このシナリオが最も現実的で確率は65%です。
認知症資産の増加(現在約300兆円)がさらに加速し、2030年代には500兆円超の資産が実質的に「死蔵」される。 同時に相続税の増収狙いで税率を引き上げた結果、相続放棄が急増し、国庫帰属資産が膨らむ。 しかしその資産は公共投資に回らず、ただの財政補填に終わる。 若年層の「親ガチャ」絶望感が社会不安に変わり、世代間の信頼が決定的に崩壊。 この確率は約15%と見ていますが、その影響は破滅的です。
2050年、日本の総人口は約1億人を割り、高齢化率は40%超。 この時、我々が避けなければならないのは「資産はあるが使えない高齢者と、資産を持たない若者」という 国家分裂 です。
そこで、国家戦略家として3つの緊急施策を提言します。
歴史を振り返ると、資産が一部に集中し、循環が途絶えた文明は必ず衰退 しました。 ローマ帝国末期の大地主制、江戸幕府末期の蔵米経済、そして現代の日本—— いずれも「富はあるが、使われず、人々の活力を奪う」という共通病です。
地政学的には、この「内側の停滞」は 対外脆弱性 を増大させます。 なぜなら、防衛力・技術投資・外交基盤を支えるのは 国内の経済循環 だからです。 資産が滞留すれば、税収は不安定になり、国債の格付けも低下する。 結果として、日本の国際的な交渉力は30年以内に現在の7割以下 に低下するという試算も無視できません。
我々は短期的な株価や為替に踊らされるのではなく、「資産循環」と「世代間連帯」を国家の核心基軸に据えねばならない。 そのために必要なのは、政治家ではなく、国民一人ひとりが「自分の相続」を国家の命運と結びつけて考える ことです。
以上が、一個人の国家戦略家としての深層分析であり、「国家百年の計」から見た確信です。 時の政権が代わろうとも、この構造は変わりません。我々はその「番人」として、冷徹に、しかし熱い覚悟を持って未来を設計しなければなりません。