高市早苗内閣の閣僚指示書
給付付き税額控除における政策矛盾の検証

執行概要

本報告書は、高市早苗総理大臣が推進する「給付付き税額控除」政策と、同氏が掲げる「国土強靭化」理念との間に存在する矛盾点を国家の安全と国民保護の観点から分析するものである。特に、同政策が消費税の逆進性是正を名目としながら、中長期的な消費税増税の布石となり得る危険性、財源確保に伴う増税リスク、および国家管理強化の側面について批判的検証を行う。

政策背景

給付付き税額控除の基本概念

給付付き税額控除は、所得税の納税額から一定額を差し引き(控除)、所得が低く控除しきれない場合はその分を給付として現金支給する制度である。例えば、税額控除額10万円の場合、所得税が15万円の人は納税額が5万円となり、所得税が1万円の人には引ききれない9万円が給付される。

高市首相のコミットメント

高市早苗首相は2025年10月24日の所信表明演説で「早期に給付付き税額控除の制度設計に着手する」と明言し、10月28日の閣議後記者会見では「実装に落としていく段階で、我々デジタル庁が非常に大きな役目を持っている」と述べ、マイナンバーと口座のひも付けの推進を強調している。

矛盾点分析

1. 国土強靭化理念との整合性欠如

政策理念 実質的政策方針 矛盾点
国土強靭化・危機管理投資 給付付き税額控除の推進 強靭化がインフラ整備や経済基盤強化を指向するに対し、給付付き税額控除は消費志向の政策であり、生産性向上や経済基盤強化に直接寄与しない

高市首相は「成長戦略の肝は『危機管理投資』」と表明し、経済安全保障、食料安全保障、エネルギー安全保障などへの戦略的投資を公約している。しかし、給付付き税額控除は短期的な家計支援に重点を置き、長期的な国富創出や強靭化に資する産業基盤整備から資源をそらす可能性が高い。この矛盾は、国家の長期的安全保障と短期的な社会政策の間の整合性不足を示している。

2. 消費税逆進性是正による増税への布石

給付付き税額控除は、消費税の「逆進性」(低所得者ほど負担率が高くなる性質)を緩和する手段として位置づけられている。この措置は一見公平性を高めるが、以下の点で問題がある:

3. 財源問題と増税リスク

給付付き税額控除の実施には多額の財源が必要とされる。立憲民主党案では約3.6兆円の財源が必要と報道されている。この財源確保には以下の増税リスクが伴う:

増税リスク1.png

実際に、2025年度以降の税制改正では以下の負担増が予定されている:

4. 国家管理強化とプライバシー侵害

給付付き税額控除の実施には、政府による個人情報の集中管理が不可欠である:

5. 行政インフラと実現性の課題

給付付き税額控除は、2007年11月の政府税制調査会答申以来、18年間実現していない政策である。その背景には「霞が関の縦割りの弊害」があり、実現には以下の課題がある:

結論と提言

高市早苗内閣が推進する給付付き税額控除は、「国土強靭化」を掲げる同内閣の基本理念と以下の点で矛盾している:

  1. 政策目的の不一致:強靭化が長期的な国づくりを目指すのに対し、給付付き税額控除は短期的な家計支援に重点
  2. 財政リスク:多額の財源需要が増税圧力となり、国民負担増をもたらす
  3. 自由とプライバシー:マイナンバーと銀行口座のひも付けなど、国家による個人情報管理が強化される

給付付き税額控除は、消費税の逆進性是正を名目としながら、実質的には消費税増税への布石となる危険性をはらんでいる。真に「国家の安全と国民の保護」を図るのであれば、消費税そのものの減税・廃止を含む抜本的な税制改革と、長期的な国富創出に資する産業政策への資源配分が必要である。

これらの矛盾点を解消するには、給付付き税額控除の導入よりも、消費税減税による国民負担軽減と、成長分野への戦略的投資による経済基盤の強化を同時に推進する政策パッケージがより効果的であろう。